在宅訪問管理栄養士の活動紹介
フリーランスとして医療的ケアが必要な子どもたちの在宅医療に携わり、ミキサー食教室も開催しています。
北海道ブロック久保 香苗KUBO Kanae
医療法人稲生会 生涯医療クリニックさっぽろ
認定在宅訪問管理栄養士を目指したのは、どのようなきっかけからですか?
私は大学卒業後、総合病院に就職し、給食管理、外来栄養指導、病棟業務などを経験した後、循環器専門病院へ転職しました。
当時は、スキルアップのために資格取得や学会発表に取り組み、自分の視野が広がっていくことに大きなやりがいを感じ、管理栄養士は天職だと思えるほど充実した毎日を送っていました。
しかし、結婚を機に退職し、出産を経て再就職を目指したものの、自分の経験を十分に生かせる働き方ができず悩む日々が続きました。
そんな頃、日本栄養士会の機関誌で「在宅訪問管理栄養士」の特集を目にし、自宅や施設など「暮らしの場」で食事や栄養を支える仕事に強く惹かれました。
「これこそ、私が目指したい管理栄養士の姿だ!」と感じ、すぐに認定取得を目指しました。
現在は、どのような活動をされていますか?
現在は、フリーランスとして主に医療的ケアが必要な方々へ在宅医療を提供するクリニックで勤務しています。
患者さんの約半数は18歳未満で、そのうち約8割が人工呼吸器や経管栄養を使用しています。
業務内容は訪問診療への同行や単独での訪問栄養相談、ミキサー食教室の開催など多岐にわたりますが、乳幼児であれば経管栄養を併用しながらの離乳食支援、未就学児であれば就学にむけた栄養スケジュールの提案、調整などをおこないます。
成人と違い、子ども達は成長していくので、定期的に栄養計算を実施して成長に見合った栄養素が確保できているかを確認することも重要な仕事です。
小児は個別性が高く栄養方針に迷うことが多いですが、医療関係者だけでなく、ご家族や教育機関などとも連携をとりながらおこなっています。
ミキサー食教室は、クリニック内の食堂を活用し、2か月に1回程度開催しています。
この講座では、「食事の時間を楽しく豊かにする」をテーマに、日頃からミキサー食づくりを実践しているご家族にサポートメンバーとしてご協力いただき、調理方法や工夫を参加者へ伝えていただくようにしています。
そうすることで、「難しい」「手間がかかる」といった負担感を軽減できるほか、ご家族同士が情報交換をするコミュニティの場にもなっています。
認定資格は、現在の活動にどのように活かされていますか?
病院勤務時代は、「食」を治療の一つと捉え、患者さんやご家族に対して指導する立場として関わる意識が強かったように思います。
しかし、在宅医療における「食」は、その人の暮らしの一部であり、生き方や価値観と深く結びついています。
そのため、「本人が望む暮らしとは何か」「どのような支援を必要としているのか」という視点から、本人の思いに伴走することを大切にしています。
私たちは専門職であるからこそ、医療や福祉の視点に偏りすぎると、良かれと思っておこなう支援が、いつの間にかその方の暮らしや選択を制限してしまうことがあります。
認定資格の学びでは、栄養ケアプロセスを学ぶだけでなく、ウェルビーイング(Well-being)の視点を持つことの重要性を学びました。
この考え方は、私にとって現在の患者さんへの関わり方や、管理栄養士として地域コミュニティに関わるうえでの根幹となっています。

これから認定取得にチャレンジする方へ、一言お願いします。
認定資格の学びでは、在宅訪問管理栄養士に必要な基礎知識から専門的な知識まで幅広く身につけることができます。
在宅医療における管理栄養士の役割は、今後ますます重要になっていくと感じています。
ぜひ認定資格を取得し、自信を持って地域へ一歩踏み出してみませんか。
皆さんと一緒に在宅栄養の輪を広げていけることを楽しみにしています。